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沈黙と苦い汗 [おもいでがたり]

思い出語りシリーズ、中学生編です。
あ、棒人間は今回書きませんよ(微笑)

中学生の私は、それなりに先生とも友好的に付き合うような、
いわゆる優等生タイプでした。それもあって中学三年に風紀委員長をやっていました。
各クラス一人委員を選出して、その委員会で選ぶヤツ。
ま、警視総監みたいなもんです(笑)違うか、、、。

私の中学時代はまさに学校が荒れはじめていた頃。
3階から先生めがけてカサを落とすヤツ、
先生のクルマを校庭に運んじゃうヤツ、いっぱいいました。
風紀委員は、腕章をして生徒を見張るような役です。
超優等生や超ヤンチャなヤツでは、反感を買いかねない。
ワタシはヤンチャな方とも気の弱い方とも仲良くしていたので、
こんなお役目がきちゃったわけです。

そして9月に2学期が始まります。
夏休みもあけて、化けたヤツもデビューしたヤツもいます。
体育祭や文化祭というイベントも控えてます。
学校の風紀を見直そう!ということで、風紀委員会が行われました。
私は、会議室の前に座ります。その横に先生がいます。
司会進行の係が司会をし、書記が黒板に書きます。
で、その会議の成り行きを私はずーっと聞いている訳です。

最後に、今日の委員会のまとめと今後の方向性を決めます。
それが、私の役目です。3分くらい、私は最後に話さないといけません。
「朝、交代で立ち番をしよう!」「あいさつ運動!」などと意見が飛び交っています。
フンフン聞きながら、私は最後に何を言おうか、どうまとめようか考えています。
ずっと頭はフル回転、そして最後の出番です。
下級生の委員の人たちもじっと私を見ています。

「最近、教科書を忘れてもイジメられっこから奪ってしまう人がいます。」
「それで、イジメられっこが先生に叱られています。」
「こんな、正直者がバカをみるようなことではいけないと思うんです!」
書いてて気付きましたが、私、この時のこと正確に憶えてますね。
まさにこんな話をしていました。そして、最後のまとめに入ります。

「ウンヌンカンヌン、、だから今後は、、、、、、、、、」
、、、、、、、?????
あれ?なんだっけ?オレ、何話してたっけ、、、???
、、、、、沈黙が続きます、、、、あれ、あれれ???どんどん焦ってきます。
、、、焦れば焦るほど、何話してたのかもわからなくなってしまい、
どう話をつなげるのか、どんどんわからなくなってしまいます。

いちおう途中まで、私は真っ当な話をしてたんでしょう。
シーンとしたまま、誰も話しません。
あーー、だれかツッこんでよ。そこに座ってるS!笑ってよ、、、。
でも、沈黙。友だちも同級生も下級生も、じっと私を見ています、、、。
横の先生からもまったくフォローがありません。
きっと2分くらいはたっています、、、、、。
いやな汗が吹き出します。私は教室の後ろにある黒板を真っすぐに見つめたままです。
、、、、、どうしようどうしようどうしよう、、、、。
いやな汗は目で見て分かる程に吹き出してきます。

沈黙は、おそらく3分は続いたでしょう。
いかんともしがたい空気のなか、つまったノドからかすれた声でようやくでた言葉。
「とにかくみんな、が頑張りましょっうぅ」
そのまま、私はへたり込むように席に崩れ落ちました。
あぁ、、、駄目だ、、なんでこんな事になっちゃったんだろう、、、。
自責の念で私は一杯です。あぁ、なんて思われたんだろう。うぅぅ、クヤシイよぉ。

いつもはここで終わるのですが、この日はなぜか先生が立ち上がりました。
「いま、nalが声を詰まらせてしまうくらい、学校は大変な事になっている。」
「みんなも、その気持ちを分かって欲しい。」
「大変だと思うけど、力を合わせて学校を良くしていこう!」
「じーーーーーん、、、、、」
委員会は、熱い空気で満たされました。
さっきまでの息苦しい沈黙が、波打つように熱い感情にかわっていきました。

「オ、、、オレは、、、許されたのか、、、?」
呆然とする私を横目に、委員会は終了。みな席を立ちました。
友だちは遠慮なく「nalちゃん、今日バスケやってく?」なんて聞いてきます。
そして「ポンッ」
振り返ると先生が私の肩をポンと叩いていました。
「きょう、良かったぞ。」

私は友だちがバスケにさそってくれていたのに、しばらく一人で会議室にいました。
後悔と充実感との複雑な思いに胸を詰まらせながら、じっと外を見ていました。


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コメント 15

かの

爆笑しました。

きっと普段の行いが理知に満ちていたので、周りがオッケーな感じに受け止めてくれたのですねー。やはり日頃の積み重ねは大事!というお話ですね!(笑)
by かの (2005-03-14 17:23) 

papa007_

かのんさんに同意、1票!
僕は友人の結婚式のスピーチで、
2分ほど真っ白になってしまいました。
だーれも助け舟出してくれないんだもんなー~~(m-_-)
by papa007_ (2005-03-14 19:04) 

GEN11

私もかのんさんに1票です。
ただ、それもわかった上で、こんなはずじゃなかったのに…というnalさんの気持ち、なんだかわかります。
実際まわりはそれほど深く人を見ていないんですよね。
気にせず気楽に行きましょう~って、今の子ども達にも言いたいです。
by GEN11 (2005-03-14 19:23) 

あるある。こういうのって。
by (2005-03-14 20:29) 

ぽん太

先生のフォローというか目指すところへ、見事着地してしまった!ってところですかね。でも(真っ白な)沈黙が生きてくると言うことは、普段の活動があればこそでしょう。だから先生もうまく持ってゆけたんでしょうね。
こっちみたいに、先生の揚げ足取って、授業つぶしの名人と呼ばれちゃうと、これは・・だれもフォローしてくれないよね(^^;)。
by ぽん太 (2005-03-14 20:31) 

7miyo-kame

冷や汗もんで。。。ラッキーでしたね。
by 7miyo-kame (2005-03-14 21:16) 

ccq

ワタシは職場の研修の試験で真っ白になりました。
先生のクルマを校庭に運んじゃうヤツ>すげー。
by ccq (2005-03-14 22:11) 

yunaママ

なんかじーんってきてしまいました。
言いたいことをうまく言葉にできないくやしさ・・・かな?
なんかとても分かる気がしました。
先生のフォローいいですね。
そういえば学校がすごく荒れていた時期ってありましたよねー。
私は一波去った後のわりと静かな時期でした・・・
by yunaママ (2005-03-15 08:26) 

生徒をまとめたり、人前で意見を述べたり、
これってできそうでなかなかできない事だと思うんです。
私も学生時代に少し味わいました。
たくさんの生徒の意見をまとめる、みんなの
意見をふまえて自分の意見もまとめて話す。
これって難しいんですよね。。
だから今回のと〜っても頑張ったnalさんにnice!
by (2005-03-15 09:02) 

アキオ

いつも冷静に語るnalさんが
このときばかりは、「感情でボロボロ」になったのでしょうね、、
言いたい事がいっぱいありすぎて、自分で訳わからなくなってしまった。

そういうのは、見てる方とすれば、感じることが多い場面だったのでしょう。
それはそれで、よかったのですよ、きっと。
興奮して、感情に流される姿、ってのも訴える物がありますからね。
ボーとして会議室に残る状態、なんともいえない放心状態だったんですね、、
すっと、日常に戻れない状態って凄いですね、ふと気付くと時間が凄くたってたりしますよねぇ、、
by アキオ (2005-03-15 09:23) 

紬

nalさんのお人柄!!!なーのだー!
by (2005-03-15 10:04) 

ノリネコ

ノリネコも授業中、教えていて真っ白になることがあります(笑
by ノリネコ (2005-03-15 11:17) 

nal

>かのんさん
そうか、、、書いておきながら自分でも気付かなかった、、、そうか、そうだったのか(微笑)っつーか、みんなコトバを失ってただけか、聞いてなかったんだと思います(苦笑)
>papa007_さん
私だったら助け舟は出しませんが、きっと爆笑してます。
>GEN11さん
けっこう記憶に刻まれている出来事なんですよ。多感な時期だったんでしょうねぇ。
>ふじかわさん
逆に山の中でくっちゃべってたら、ヘンですね(笑)
by nal (2005-03-15 13:06) 

nal

>ぽん太さん
そうそう、この時の先生の機転は、けっこうスバラシイものがありました。
>kiyokaneさん
その時の自分にはラッキーもなにも感じませんでしたが(微笑)
>ccqさん
それは、答案用紙が真っ白なんですか?
>yunaママさん
言葉にできないとかじゃなくて、完全にブラックホールなんですよ。何話してたのかまったくわかんないという、恐ろしい事態です、、、。
by nal (2005-03-15 13:09) 

nal

>suzuさん
ハハハ。まぁ、コドモのやる事ですから、そんな大げさな事でもないんですけどね。
>akioさん
なんかblogの画面行ったり来たりしてると、スゴク時間がたってます、、、。
>紬さん
いや、そうでもないですが、、、(苦笑)
>ノリネコさん
そういうご職業ですか!!blog拝見します!
by nal (2005-03-15 13:12) 

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