500km~ThruTheNite~ [♡AlfaRomeo]
■ART FILTER■Rough Monochrome■
徐々にアスファルトがオレンジ色に染まりゆく。
ワインレッドのボディがやがて漆黒に近づいていく。
私は力むでもなくただ淡々とハイウェイの上で前方を見やっていた。
その日の午後にあった大きな仕事を終えた達成感に包まれながら。
思いのほか順調に仕事を終えることが出来たおかげで、
仕事の戦闘服を脱いでプライベートな自分に戻ることが出来た。
脳の充実した疲れを解きほぐしながら、
エンジンを謳わせるでもなくただただ淡々と、私は西を目指す。
前日に決意した西へのグランドツーリングを受け入れてくれた方に感謝しながら。
思えばコイツと遠くへ行くことなんて、ほとんど無かった。
欧州で生まれたAlfaromeoは、もちろんのこと高速移動が得意だ。
最初は法定制限速度を行ったり来たりしていたのだが、
それくらいの速度ではまだ足元がおぼつかない。
おぼつかないというよりも3年3万キロ強の距離が、
やはり少しではあるけれど足回りを消耗させたのだろうか。
少しだけそんなことを考えつつ、
私は此処までよりもさらに速度計の針を上に引っ張り上げた。
………!
するとどうだ。
Alfa159はみるみるその肢体を路面に張り付かせ、
まるで滑るように、路面を舐めるが如くに安定していくではないか。
もうさっきまでの少しユラユラした客船のような感覚は、ない。
彼はワインディングでは嬉々として曲がりたがる少年のような無邪気さと同時に、
ハイウェイを矢のように飛んで行くグランツーリズモでもあるのだ。
Alfa159との、我が3度目のグランドツーリングで改めてそれを感じた。
私は6つものハイウェイを跨いで、ただただ西を目指した。
丘陵を抜け、湾岸沿いの橋を駆け抜け、初めて通る山間部を抜けて、
そしてやがて無数の街灯りに包まれた都市高速に出た。
私にとってほとんど縁のない場所、ザ・シティ。
旅と言えば海や山を始めとするリゾート地を特に好む私は、
自ら東京に足を運んだ記憶は、無い。御殿場や箱根で下りてしまう。
そして今回の地もまた、自ら足を運んだのはおそらく17、8年ぶりだろう。
18歳の頃に当時の彼女と初めて言った旅先が、そうだった。
その後も学生の頃に夜を抜けて夜景に包まれに足を運んだ記憶はあるが、
それ以来私はいわゆる”CITY"へ旅として出向いたことは無い。
幾つものハイウェイを駆け抜けながら、
私は意味の無い記憶や思考の断片と遊んでいた。
ただただ、前方を見やりながら。
そして。
■ART FILTER■POP ART■
かつてユーノスロードスターを手に入れた頃、
いきなりガソリンスタンドで見知らぬ男性に声をかけられて、
私はロードスターワンメイクのカークラブに出入りしていたことがあった。
サーキットも走ったし遠出もした。
初めてのアルファロメオを手に入れた21世紀の始まりの頃もまた、
色んなサイトで同じクルマに乗る仲間を探した。
遠出もたくさんたくさんしたし、サーキットも何度も走った。
大きなイベントを開催して、50台以上の仲間と宿で語り明かしたこともあった。
しかし家族が出来て以来、
私はクルマに時間を費やす事が出来なくなり、
Alfa159でこうして心同じくする方と鼻先を並べることはなかった。
ルビーノレッドのAlfa159での、初めての経験。
初めてだったけれど、
それでも夜の潮風は心地良く、そして尽きる事の無い声に包まれていた。
私はジッと、同じクルマたちの群れを見ていた。
それはかつてのアルファロメオに乗っていた頃と同じように、
皆が思い思いに自分だけのアルファロメオを作り上げる喜びに溢れた風景。
ラグジー、ナスカー風、そしてもちろんレーシーなアルファロメオたち。
センスのカタマリとしか表現出来ないようなこだわりの演出。
そして我が愛車を目を細めるように語るオーナーの皆さん。
ふと私の脳裏に、もう思い描いてはいけない思考がよぎっていく。
…もし、もう少し前にこの場に来ることが出来ていたら、
…私はどんなジャッジを下していたのだろう、或いは…。
いや、それは考えまい。
過ぎたことに「もしも」なんて言葉は要らない。
私は、自分自身のインスピレーションを信じる。
漆黒の闇の中を、
改めてAlfa159は東へとハイウェイを駆け抜ける。
意味があったりなかったりする、とめどない思考に身を任せながら。
■走行距離:506km■
■片道所要時間:約2時間40分■帰宅時刻:AM2:20■
■燃費:12.54km/L(過去最高記録)■
”500kmの距離を重ねて、我が居所に帰って来たAlfa159”
■PHOTOS■
■DSLR■Olympus E-30
■LENS■Zuiko Digital 14-54mm F2.8-3.5 II
■ART FILTER■一部使用
全部ISO1250で撮ったんで、ノイズきっついなぁ…明るくレタッチしすぎた…。
■関連記事■
2004.12.20「'04チャレンジ最終戦?」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2004-12-20-1
2005.03.25「三十路を過ぎてからの友だち」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2005-03-25
2005.03.30「アルファ馬鹿の集い」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2005-03-30-1
<カテゴリー>「弾丸がアナタの街に」
2006.09.24「弾丸nalfalfa、横浜へ行く」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2006-09-24
2006.09.25「弾丸nalfalfa、再び突撃する」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2006-09-25
2007.09.18「弾丸nalfalfa、甲州へ行く」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2007-09-18-BMW320vsAlfa159
2009.09.19「胸キュン弾丸nalfalfa」
http://nalfalfa.blog.so-net.ne.jp/2007-09-19-kaeruchan-love
ルビイ様に妖しく映る光達。。。キレイです♪
あ・・・じゃなくて( ̄▽ ̄;
読み応えのある、カッコ良いストーリー。
Alfa 159って、優れたGranTurismoですよね。
僕も改めて感じています。
そして、ホントに気持ちの良い夜でした。
いつか...また、お越し下さい。
自身のインスピレーション。
これに勝るモノはありません。
クルマ趣味において...インスピレーションが全てだと、僕は思います。
住処に収まるAlfa 159のお尻がせくすぃ〜です。
by ghie (2009-05-12 15:52)
うん、ツーリングしてこそヨーロッパ生まれが生きますよね。
マチナカ這いずり回ってると、
国産の無味無臭が助かったりしますけど。
脚は固めるとあるステージではイキイキしますが、
長距離走るセッティングはまだまだ市販のチューンドでは
なかなかしっくり来ないことが多い。
アルファのストロークの長い足と
ヨーロッパならではの椅子、
しっとりひたれそうですね。
by アキオ (2009-05-12 20:13)
おりょ、お会いしたかったですね。
159はやっぱ高速走ってなんぼの車でしょう。3200よりは格段に安心して踏めますからね。
nalさんのインスピレーション、如何に⁉
by alessandro (2009-05-12 21:53)
コメントレスのその前に。
昨夜我が家のユニボディのほうのMacbookで記事見たら…会社(白Macbookね)で見た以上に写真がノイズだらけ(泣)白Macbook、液晶暗いよ!2年半経ったからか…。なんだか写真だけ差し替えたくなってきました。そのうち誰にもわかんないと思うけど、替えると思います、ペコリ。
by nal (2009-05-13 10:47)
>ghieさん
ありがとうございます。弾丸突撃した時の記事は、なぜかいつもハードボイルド風味に…なんででしょう(汗)
最後のオシリ、ワタシもすごい気に入ってます♪
>アキオさん
今回痛感しましたが、80とか100ではダメなんですよ。
それよか何割か上でダーッ!と安定します。
たぶんヒャクロクジュウ巡航あたりがいちばん快適な気がします!
(やってませんよもちろん、汗)
>alessandroさん
そうですね!お会いしたかったです!ってalessandroさんでも遠いですよねアソコは…。えーその後の展開は乞うご期待です(ニヤ)
by nal (2009-05-13 10:50)
出遅れました!
いいっすねぇ~やっぱり。
僕も出かけたくなりました。
今度の休みにでも出かけようかな~
休みがあれば(涙)
by eddie (2009-05-17 07:29)
>eddieさん
高速ダダダーーー!!は楽しいですやっぱり。
この気持ち、クルマ好きじゃないとワカンナイですよね〜きっと。
by nal (2009-05-18 11:27)