宇宙にとどけ：nalfalfa：SSブログ

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宇宙にとどけ　[おもいでがたり] [編集]

我が家の前には、河川敷があった。

子供の頃、冬になると必ずそこで凧揚げに興じた。
ゲイラカイトが登場してしばらく経った頃だろうか。
とっておきのゲイラカイトの大きな目玉を見つめながら、
友だちとどこまでも高くカイトを揚げた。

たこ糸が手元から無くなってしまうくらいまで、どんどん上がっていく凧。
すぐに「たこ糸追加〜！！！買ってきて！！」と友だちに頼んで
当時駄菓子屋だった我が店へ友だちが走る。

その追加したたこ糸を慎重に結びつけて、
ゲイラカイトはさらに遙か空高くまで上がっていった。

まるで、宇宙にまで届きそうな程に。
　
　
　

　
　
　
プツンっ。
　
やがて風力に耐えきれなくなったたこ糸はちぎれて、
ゲイラカイトはてんで気分勝手な方向へと飛んでいく。

それを追いかけてどこまでも走っていくことすら、楽しかったあの頃。

　

先日のお休みの日、我が子と凧揚げをした。
たぶん、３０年ぶりくらいの凧揚げ。
長男が小学校で作ってきた自作の凧は思いの外に高く舞い上がり、
私は思わず昔を思い出してウズウズしてしまった。
　
…た、たこ糸追加したいっ………。　
　
しかし我が子が頑張って作った凧なので、
もし糸がちぎれたら今の時代、てんでに飛んでいく凧を追いかけていくわけにもいかず、
うずうずしながらも3~40mほど糸を伸ばしてガマンした。
　　
正月に凧揚げする、なんてことから離れて３０年。

日本の行事は、やはり楽しいのだよ。
　
　
　