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凛として生きる [映画音楽本とか]

誰にでもあるだろう、人に認められたいという承認欲求。
それは別に恥ずかしいことでもないし、ワタシも時にそう願う。

仕事をしていて、素晴らしい成果が得られた時。
一人でやっているような仕事なので、喜びを分かち合う相手も居ない。
ハイタッチしたいし”頑張ったね”と言ってもらいたい。

「オレだって頑張ってるじゃん」って、家庭でもそんなことはある。
育児に励んだり、家事を分担したり。
”nalクン、よくやってるよね。”
そのひとことで、どれだけ勇気付けられることか。
 
 
しかし、それに囚われすぎるのもどうだろうか。
自分は自分のために生きているのであって、他人のためでは無い。
自分の生き方に少しも恥じることなく、
ただ自分の意志に忠実に、飄々としかし、凛として生きたい。
  
そういう自分でありたいと思いつつも、
邪なその場限りの感情で、右へ行ったり左へ行ったりと、
おろおろしながら日々を生きているというのが、人の性なのかもしれないけれど。
  

2年ほど前の映画で恐縮なのだが、
ずっと観たいと思っていた映画を、先日はじめて観た。
  
  
  

 
 
 

シュガーマン 奇跡に愛された男 ブルーレイ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: Blu-ray



シュガーマン 奇跡に愛された男 オリジナル・サウンドトラック

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: CD


 
 
 
1970年前半、アメリカ音楽関係者からその才能を高く評価され、
2枚のアルバムを作り上げながらその音楽はまったく市場に受け入れられることなく、
その後すぐに音楽の世界から姿を消してしまった男、ロドリゲス。
   
こんな話は、世の中に吐いて捨てるほどあることだろう。
  
しかし、彼にまつわるエピソードは違う。奇跡みたいなお話だ。
彼は自分のまったく知らないところで、熱狂的な支持を受けていた。
地球の裏側、アパルトヘイト時代の南アフリカで、
どういう経路を得たのか海賊版なのか、彼のアルバムは誰もが口ずさむほどに認められた。
彼はボブディランやビートルズと並び立つほどのレジェンドとなっていた。
事実5万枚ほどでベストセラーと言われる南アフリカの地で、
50万とも100万とも言われる空前絶後の売り上げを記録した。
     
しかし、彼はその事実を何も知らない。
もちろん印税として、還元されることもない。
南アフリカの人たちも、音楽は誰もが知っているのに関わらず、誰も彼のことを知らない。
ライブステージ上で拳銃自殺したとか焼身自殺したとか、
ロックシーン特有のおとぎ話みたいな伝説が噂されるのみだ。
  
    
この映画は、そんな南アフリカの地でも
誰も知らない謎の男「ロドリゲス」を追う真実のドキュメンタリーである。
   
自らの魂を削り取って生み出した音楽が、
誰からも評価されることなくひっそりと表舞台から姿を消し、
生きているのか死んでいるのかすら誰も知らないほどに認められていないにも関わらず、
その後も彼は地に足を付け、凛として、そして飄々と今このときを生きていた。
肉体労働に励み、仕事に誇りを持ち、
自らにも誇りを持ってタキシード(スーツ)で工事現場に通っていた。
我が子を立派に育て上げ、貧困にも関わらず我が子を美術館に連れていった。
   
1998年、南アフリカの音楽関係者の苦労によって彼の生死と所在が確かめられる。
映画には、現在の本人、ロドリゲスも登場する。
30年近くに渡って誰からも承認されることの無い人生を送ってきた男が、
南アフリカの地で伝説のスーパースターとして出迎えられる。
     
  
恥ずかしながら、私の目から涙がこぼれた。
それは、彼の生き方そのものに心打たれたからだ。
 
どんな時も、彼は彼であることを見失わず、
自分に誇りを持ち、音楽の世界で一切の承認を得られなくとも
経済的には貧困でありながらも気高く凛として生きていた。
   
自らの人生を、全うしていたのだ。
 
彼のような心持ちで生きたい。
誰にも認められなくとも、存在すら忘れ去られようとも、
自らに嘘をつかず自らに誠実に、凛として生きたい。

それはきっととてつもなく難しいことなのだろうけれど、
右か左か迷ってしまった時には、
またこのドキュメンタリーを自らの支えとして観たいと思う。

音楽にそれほど興味の無い方も、
きっと彼の生き方から何か受け取れるものがある。

私のベスト10に入る映画、「シュガーマン 奇跡に愛された男」を今回は紹介する。

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