振り返す手のひら [♡RoadsterRF]
時間があると、何処か遠くへと行きたくなる。
もちろん相棒は、RoadsterRFだ。
前の晩から目的地は何処にして、ランチは何処で食べよう。
なんて計画を練っている時が、この上なく楽しい。
先日の休日もまた、私はクルマを南へ南へと走らせた。
海岸沿いの道を、潮風を浴びて走りたいと思ったからだ。
あいにく予報に反してどんよりとした天気だったけれど、
この年となっては紫外線は敵だしちょうど良いと言い聞かせて、海へと向かった。
それに、花粉の季節ももう終わりだからね。
そんな道中、こんなことがあった。
そして翌日、私は「そういえば」と思い、
ドライブレコーダーからSDカードを引き抜いて、あの時の時刻を探したのだった。
私とすれ違うロードスターが、何と手を振ってくれていた。
何と、ではなく実際は、初めてなんかじゃなくてよくある事なのだ。
ゴールデンウィークに東の高原を目指した時も、同じことがあった。
気付くと私もまた、そっと手を振りかえしていた。
すれ違い様に、手を振り合うロードスター。
さすがに平日の仕事中は多くはないが、
それでもすれ違うロードスターの2、3割は振ってくれるんじゃないだろうか。
そして休日ツーリングでの山や海では、
おそらく7割、いや8割くらいのロードスターが手を振ってくれる。
すぐに気付かなくて申し訳ない時もあるけれど、
気付けば私も、控えめに手を振っている。
ロードスターに乗っている人にはそういう文化があるなんて、
そんな話をWeb上で読んだこともある。
それくらい、珍しくない事なのだ。
そんな時、いつも私は昔々のことを思い出す。
■1993年9月15日■
もう30年も前になる1992年。
まだこの世にWindows95もInternetも無かった頃。
携帯電話を持っている人を、見たことすら無かった頃。
そんな中、私には何故だかロードスター仲間ができていた。
何処でどうやって知り合ったのかというと。
私がロードスターに乗り始めて半年ほど過ぎた頃、
ガソリンスタンドで店員さんに急に声をかけられたのだ。
「すみません!常連のお客様に頼まれて、
ロードスターに乗ってる方にこのチラシお渡ししてるんです!」
「ご興味ありましたら是非!」
それはツーリングの誘いだった。
あやしい誘いだったら心配なので、
私はロードスターを買ったディーラーの営業さんにそのチラシを見せてみた。
私と1歳違い、新入社員だった営業のHさんとは非常に仲良くしていたからだ。
「お!nalさん、そのツーリング。知ってるどころか私も行くよ!」
「nalさんも行こうよ!初めてだし知ってる人が多い方が楽しめそうだしね!」
きっかけはそんな感じで、Hさんもいる事だしと勇気を出して参加した。
ものすごく楽しかった。
共通の趣味を持つ者たちが、
一緒になってただ走り続けることがこんなに楽しいのかということを知った。
その後もお誘いを受けて、ミニサーキットに走りに行ったりもした。
■1993年2月頃■
オープンカーは転倒対策のロールバーが無いと走れないということで、
慌ててロールバーを購入した。
ふたこぶラクダ形状のキャメルバー、めちゃカッコ良くて気に入っていた。
そうそうヘルメットもバイク乗りの友人に貸してもらったんだった、懐かしい。
就職してからもそのお付き合いは続いた。
月の休みが3日くらい、
毎晩午前様で今ならブラックと言われる勤務形態だった私にとっては、
唯一といっても良いくらいのリフレッシュの時間だった。
その後、仕事の激務に加えてEUNOS店の斜陽&閉店に伴って足が遠のいたものの、
あの頃のことは今もよく覚えている。
Internetも携帯電話もないから、手紙と家の電話の取次でつながった関係。
とっても濃密な時間だった。
そのため21世紀早々にゲットしたAlfa147でも、仲間とよくツーリングに出かけた。
ツーリングだけでなく、普通に食事にもよく出かけたなぁなんて今でも懐かしく思い出す。
海岸線を走り抜けて最終目的地。
ゆっくりとしていると遠くから笑い声が聞こえてきた。
偶然にもロードスターが2台、写真撮影をしているようだった。
30年前に芽吹いたロードスターのつながりは、
すれ違う時に手を振り合ったり、一緒にツーリングに出向いたり、
今なお文化みたいに続いているんだなぁと、微笑ましく感じた。
ロードスターは、単にクルマなだけじゃない。そんなふうに思える。
■PHOTOS■
Olympus OM-D E-M5 III + LeicaDG Vario-Elmarit 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. Power O.I.S.
(一枚目はiPhone13pro。他、ScreenShot及びScanDataアリ)
コメント 0