SSブログ

4人の時間 [N&alfamiglia]

07.jpg


起きたのは早朝の5時。
6時過ぎには我が家を出発、高速道路の上りを延々と走り続けた。

目指していたのは
長男の進学する大学の、近くにある不動産賃貸のお店だ。
それは駅前にある商店街の一角にあった。
私の住む地方都市の商店街は、正直賑わっているとは言い難い。
必死で衰退から抗っているのはわかるが、往時の面影はない。
 
翻ってこの商店街は非常に活発だった。
洋食屋にラーメン屋にイタリアン。
塾にスーパーにドラッグストア、
おまけにミスタードーナツやらマクドナルドもあった。
 
長男の進学する大学から目と鼻の先だから、
きっとこの商店街に通い詰めることになるんだろう思うと、
思わず頬が緩んだ。
2年後には飲んだくれて、その辺で座り込んでいる姿まで想像してしまった。
無論、それは30数年前の私の姿なのだが。 

下宿先の候補については
事前にwebで目一杯情報をインプットしていたから、
第一候補の物件と、その対抗馬を締めて6箇所ほど見せていただいた。
 
 
08.jpg

 
 
関東圏の人気の場所は、
分単位でお部屋が埋まってしまうことも聞いていたのでその場で即決。
すんなり第一候補の賃貸物件で決まったのだが、
実は候補の部屋では無く、さらに広い少しお高い部屋となった。
まあ私が長男の立場でも間違いなく「こっちがいい!」と言うと思ったので、ね。
  
しかし突撃日帰り関東往復の旅はなかなかに厳しい。
特に帰路は堪え他。サービスエリアに3度も立ち寄ってしまった。
その度にソフトクリーム等で充電しつつ、力を振り絞って帰宅したのだった。



 
 
3月下旬、引っ越しの日。
再び早朝に、今度は家族4人でクルマで出発した。
この1年間は、長男の受験生活が最優先だった。
そのため旅行に行く事もなく、そして外食も滅多に無かった。
同じく次男も塾通いと、そして部活動に打ち込んでいたから、
家族で行動を共にするということが本当に少なかった。
 
そして新しい年度がやってきて、長男は巣立ち今度は次男は受験生だ。
今後、家族4人が共に行動出来るのもあまりないだろうと思い、
1日目は東京お上りさんをすることにした。
昼間は東京ぐるぐるを満喫、そして夜はお台場のヒルトンへ。
そこには我が家が愛していたリゾートがあった。
2019年まで、毎年のようにビーチか高原のリゾートに出向いていた。
お台場のヒルトンの佇まいは、
まるでグアムや沖縄のリゾートホテルに居るような気分にさせてくれた。
あえてビュッフェレストランを選び、陽気な気分を満喫した。
コロナ以降は飛騨や京都、淡路島等の観光旅行が多かったので、
こういうスカッと心を開放できるリゾート体験ができて、サイコーだったな。
 
 
05.jpg

 
 
夕食後はほろ酔い気分で近所を散策。
思いがけず出会ってしまったガンダムと、パチリ。


 
01.jpg


 
翌朝からは気持ちを引き締めて、いよいよ引っ越しだ。
お台場から長男の進学先まではそれほど遠くない。
クルマで30分少々、賃貸不動産屋さんでカギを受け取ると、
すぐに引っ越しは始まった。
 

家具と家電は地元で注文、この日に下宿先に配達指定をしておいた。
そうすれば荷物は少なく済むし、引っ越し業者も使わないで済むからね。
幸運だったのは、下宿先のすぐ近所に家電屋さんも家具屋さんも
スーパーもショッピングプラザ的な建物も、軒並み揃っていたことだ。
慌ただしく、4人がかりで家具を組み立て片付けを進めた。
 
少しずつ、長男の城は出来上がっていく。


06.jpg



この日の片付けは6割ほどのところでタイムアウト。
私たちは近くのビジネスホテルに引き上げ、
長男は下宿先で初めての一人の夜を過ごした。
翌朝下宿先へ行くと、どうってこと事ない顔をした長男が出迎えてくれた。
 
最後の食事は昼、これまた近くの和食のファミリーレストラン。
4人が揃ってこんなに長い時間を共にしたのは、いったいいつ以来なのだろう。
大切な時間は少しずつ過ぎていき、17時頃に私たちはタイムアップ。
これ以上居ると帰路が心配なので、いよいよお別れの時だ。

この後に及んでも、
クルマで帰路につく私たちの見送りに、長男は外にも出てきやしない。
ベランダ越しに笑顔で手を振るのみだ。
この2日間、いったい誰のためにみんなで頑張ったと思ってんだ!!
でもそれが何とも長男らしくて憎めなくて、
車内で3人、長男の悪口を言い合いながら私たちは帰路についたのだった。




 
 
そして4月1日、晴れ舞台。入学式。
4時に起きた私と彼女はのぞみの始発に飛び乗って、関東へと向かう。 
   
   
04.jpg

 
 
幸運だったのは、先月の中頃に電車の新路線が開通。
新横浜から新路線で2駅ほどで最寄りの駅に到着できるようになっていた。
なんて素晴らしいタイミングだったのだろう!

しかし電車移動に慣れないお上りさん故、
路線は間違えるし逆方向に歩き出すし右往左往。
かくして予定より少し遅れた8時過ぎ、長男の下宿先にたどり着いたのだった。
 
するとワイシャツにネクタイ姿、そして下は下着一枚の長男がそこに居た。
こりゃまたどういうこったいと尋ねてみると、
ネクタイが上手く締められずに夢中になっていて、
パンツまで手が回らなかったと。
とは言えそのネクタイもアンバランスで、結局私がお手伝いした。

長男の部屋は、思ったよりもキレイだった。
というか片付けはできないくせに案外潔癖なところがあるのは知っていたので、
ぐちゃぐちゃではないだろうなぁという予想が当たっていた。
 
さすが親だ、オレ(苦笑)
   
   
03.jpg



時間が迫っていたので、すぐに大学に向かった。
下宿先からは徒歩で15分ほど、ほど良い距離だと思う。
道中、一人で暮らしたこの一週間の話なんかをして向かう。
このわずかな時間のために、私たち親はこの地まで来たんだと思いながら。
 
 
「オレ9時に友だちと待ち合わせてるから、大丈夫かな」
 
 
大学に到着したのは8時45分。
親子に残された時間は、15分間だった。
 
そそくさと写真におさめると、
やがて長男は待ち合わせた友達に会うために、群衆の中へと消えていった。
 
 
 
02.jpg



その後私たちは下宿先へ戻り、部屋の整理整頓をして、
長男が困らないように、近所のスーパーとドラッグストアへ買い出し。
お昼になる前に私たちは下宿先を後にした。
 
顔を見られたのはわずかに4、50分ほどだったけれど、
行って良かったとしみじみと思った。
 


 
彼の一人暮らしが始まってから、3週間弱が経過した。
母親である彼女は日に一度ほど電話で話しているようだが、
私が長男と話したのは数度きり。それも用件のみだ。
 
けれど私もそうだった。
親のことよりも新しい生活のことで頭はいっぱいだったから
長男に「冷たいなこのやろ〜」と思うことは特にない。
ま、少しは思うけれど、でも子どもってそういうものだと思うから。


09.jpg


母親である彼女が「送れ!」と言って無理やり送らせた写真。
長男のある日の自炊した晩ごはんだ。
麻婆豆腐だけれど、ミンチが無かったらしくササミを刻んで入れたらしい。
お米も炊いてるし、頑張って作ってるねぇなんて夫婦で言い合っている。
  
「でも、脇に写ってるオレンジの写真、ハッピーターンじゃねえの!?」
 
晩ごはんのお供にハッピーターンか〜、、、。
写真を見ながらこんなことをブツブツと語り合うのが、
これからの我が家にとってのシアワセなんだろうな。
   
   
Rクン、今週から本格的に授業も始まったようだし頑張れよ!
そしてサイコーの4年間を満喫してくれ。
そしてもうひとつ。
たまにはこうして写真を送るのを、絶対に忘れないでくれよ!




nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:育児

nice! 6

コメント 6

copland_YB

お部屋結構広いですね!
写真見ていて気付きましたが、プリンタ買って送らなきゃ。

by copland_YB (2023-04-14 09:02) 

nal

>copland_YBさん
部屋、各フロアに1室だけ広いけど変形、で少しだけ高い部屋があってそこになりました。めちゃ広いです!写ってるの、電子レンジとかトースターです。ウチもプリンタはまだです。7、8000円ので事足りると思うので、コッチで買うより直接webで買ってもらったほうが安く済みますよん。
by nal (2023-04-14 11:28) 

GEN11

広い部屋良いですね!
うちの娘の時も少し広めの部屋を借りました。微妙に広くてあまり借り手がいなくて割安でしたし、家族みんなで押しかけて泊まり込むにはサイコーでしたよ!
nalさんも自分用の寝袋をこっそりクローゼットに仕込んでおいてください。
by GEN11 (2023-04-16 22:25) 

nal

>GEN11さん
親バカ炸裂して広い部屋になっちゃいました(照)
元々私自身も新築より、古くても広いほうが嬉しい派なので、まさにそういう部屋になりました。GEN11さんは寝袋なんですね、今度のGWに布団一式積み込んで突撃したろかと勝手に企ててます(笑)
by nal (2023-04-17 09:04) 

GEN11

遠慮して寝袋と書きましたが、実はワタシも布団一式派です!(爆)
by GEN11 (2023-04-18 21:47) 

nal

>GEN11さん
長男、事情があってGWに帰ってくることになったんですが、一言目に「日帰りでも良い?」って言いやがりました、冷たいぞ!(号泣!)
ま大学生活が充実してるってことですよね、、、生暖かい目で見守ります(苦笑)
by nal (2023-04-19 09:47) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント