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失望と切なる願い [♡AlfaRomeo]

乖離してしまったのだろうか。
取り残されてしまったのだろうか。
それは、わからない。

ただ一つ言えることは。

今後、日本にやってくる可能性は限りなく低くなったということ。
そして私と同じ志向を持つ人は、この国にはほとんど居ないという事実だ。

物事の切り取り方は様々で、同じ対象を見ても多種多様な語り方が出来る。
これまでも現在私が日々を共にしているAlfa159について書いてきたが、
今回は今まで書かなかった切り口で書いてみたいと思う。
  
  
  
ひとつ前のクルマだが、
去年8月に2台目のAlfa147とともに走り出して、
私は基本的には十分に満足をしつつ日々を過ごしてきた。
しかし、他人にとってはどうでもよくても私には重大な不満点も抱えていた。

ひとつはフェイスリフトした結果、
国際的で普遍的になってしまったフロンドデザイン。
最初に乗っていた黒いAlfa147のデザインのほうが私は好きだった。
日々を共にすれば慣れると思っていたけれど、結局最後まで受け入れられなかった。
 
 
そしてもう一つの最大の不満点は、カラーコーディネイトだ。

明るいシルバーのボディに漆黒のスウェード風の布内装。
私にとってはじめての無彩色で淡色のボディ。
はじめての「男の仕事場」感溢れる内装、単刀直入に言えば地味なしつらえ。
手に入れた経緯は過去にあるから省くが、多少の妥協の産物ではあった。
けれど今まで経験したことがなかっただけに
新たな地平が開けるのではないかと楽しみに思っていたが、
「色」というのは私にとってものすごく大切なものだったようで、
日に日に不満は募り、結局満たされることはなかった。
 
すこしクタッとした印象で走る足回りや、ワイルドかつ繊細に回るエンジンは
私の好みそのものだったしコンパクトなサイズもお気に入りだった。
ゆったりとスポーティなのに包み込むようなシートの出来も満足だった。
 
けれど、毎日目に飛び込んでくるシルバーとブラックの組み合わせを見ては
「これがダークブルーのボディにキャメルの内装だったらな…」と内心思っていた。
   
  
   
そこに現れたのが2006年、今年2月にいよいよ日本上陸したAlfa159だ。
設定はマニュアルシフトのみ。
クルマに興味のない方なら即座に選択肢から落ちてしまうマニュアルシフトだが、
私は「マニュアルシフト」であることが重要だから大歓迎だった。
  
日本に輸入されるクルマは、逆のことが多い。
本国(イタリアやフランス)では9割近くの人々が
マニュアルシフトのクルマに乗っていると聞くにも関わらず、
日本にはオートマティックしか輸入されないクルマは多い。
 
プジョーは良心的だが、
それでも私のお気に入りの307CCでマニュアルシフトを選ぼうとすると、
上級グレードの307CCスポートを選ばなければならない。
上級ということはイコール高いエクストラコストを払わなければ乗れない、ということだ。
  
BMWなら特殊な「M」シリーズ、もしくは受注生産で半年以上待ってBMW320iがあるがそれだけ。
AUDI TTも初代モデルの輸入直後はマニュアルシフトの設定だっだが売れなかったのだろう。
今やオートマティックのみでマニュアルシフトを選択することは出来ない。
  
 
国産車なら言わずもがな、だ。
   
   
そんな私にとってマニュアルシフトのAlfa159は大歓迎だった。
それに加え、カラーバリエーションがあり得ないくらいに豊富だった。
   
 
ブラックのボディにキャメルの革シートの組み合わせ。
濃いブルーのボディにキャメルのシートもいい。
そして私の選んだルビーノレッドのボディに淡いベージュのレザー内装。
   
   
アルファロメオは、
数あるブランドの中でもマニュアルシフトの選ばれる比率の高いクルマだが、
それでもこれまではこんな選択肢は用意されていなかった。
  
  
マニュアルシフトの人はスポーティに乗りたい人だろうから内装は「黒」。
   
  
勝手にそうマーケティングされてしまって内装は黒しか選べなかった。
外装もそうだ。白黒シルバー、それからイメージカラーのアルファレッド。
他の微妙なカラーが良くても日本に入ってこなかったのだ。
    
   
それが、Alfa159なら私好みの組み合わせがさらにマニュアルシフトで選べる。
そして右ハンドルについても4月に上陸するらしい。
   
私にとって、数あるブランドを見渡してもこれほど理想的なクルマはなかった。
Alfa147も手に入れて1年弱だったしもちろん経済的な理由もあるから、
すぐに手に入れられるとは思っていなかったが、
次に乗るクルマはAlfa159以外に考えられなかった。
   
   
そして5月も過ぎてくると、様々な噂が聞こえてきた。
   
マニュアルシフトしか設定されていないAlfa159は売れ行きが芳しくないようだ、と。
   
まあ、そうだろう。
今やコンパクトセダンというよりも、
プレミアムミディアムに足を突っ込んでいるようなその大きさでは、
ターゲット層は先代Alfa156よりも上級移行せねばならないだろう。
そういった層は、マニュアルシフトなんて求めないだろうから。
     
※先代Alfa156は、カローラと同じくらいのサイズだった。
   
その頃からディーラーのデモカー落ちの中古車をよくチェックするようになった。
まだそれほど値ごろ感は出ていない。
しかし基幹車種のAlfa159の売れ行きが芳しくないなら、きっと値交渉の余地は大きいだろう。
さらに言えば、年内にもオートマティックモデルが導入されると聞いていたから、
導入されたらこんなにイイクルマはきっと売れるだろう。
きっと、将来は値引きを締め付けられる方向に向かうだろう。
   
  
私はカラーの組み合わせに惹かれていたのはもちろんだが、
Alfa159に真っ当な本物のイイクルマ感を存分に感じていた。
これがオートマティックならば、販売でもBMWやAUDIと伍して勝負出来る。
きっと飛ぶように売れるだろう、と。
  
だから勝負はオートマティックモデルが輸入されるまで。
それまでに絶対手に入れたいと思っていた。
     
  
そしてもうひとつ、大きな懸念が絶えず胸の中にあった。
      
      
こんなに自由にカラーバリエーションが選べるのも今だけなのではないか。
マニュアルシフトのクルマなのにこんなに色の選択肢があるのは奇跡だ。
きっと近いうちにバリエーションは縮小される。
おそらく赤シルバー黒の外装に、黒い内装しか選べなくなるだろう、と。
    
    
ルビーノレッドのボディにベージュの内装、そして右ハンドルのマニュアルシフト。
濃いブルーのボディにキャメルの内装もステキだろう。
   
    
そんな組み合わせが日本に輸入されるのは、
今だけなんじゃないか、と私は確信のような予感があった。
そんな理想のクルマが手に入れられて、なおかつ値ごろ感ある価格で買えるのは今しかない!
   
だからワタシは6月、いつものディーラーで営業さんに声をかけた。
幸運にも十分に満足のいくレベルで商談はまとまった。
    
    
何ひとつ不満のない、すべてが理想のクルマを私は手に入れることが出来たのだ。
       
   
   
      
そしていよいよ12月、オートマティック(セレスピード)のAlfa159の日本上陸が発表された。
しかし2月から販売開始したマニュアルシフトモデルの販売不振を受けて、
インポーターも手が縮こまってしまったのだろう。
    
売るためにどうしても価格を下げて設定したい。
そのために、大幅に装備は簡素化されてしまったようだ。
私の好きな鈍い輝きを放つアルミの内装トリムもなければスカッフプレートもない。
自動防眩ミラーもレインセンサーもクルーズコントロールもなくなってしまった。
革シートも、2種類から選べたのに1種類に縮小されてしまった。
ルビーノレッドも受注生産になった。
注文して半年待たねば手に入れられなくなってしまったのだ。
  
そしてもうひとつ。
先週オイル交換にディーラーに足を運んだ時、衝撃的な事実を知ってしまった。
      
      
”マニュアルシフトモデルはオーダーストップ”
  
今後、日本に輸入する計画はないとのこと。
    
   
私は言葉を失った。
おそらく将来、カラーバリエーションは縮小されるだろうとは思っていたが、
それどころではなかったのだ。
色ではなく、存在そのものが日本から消滅する。
     
 
アルファロメオは、90年代にはほとんどマニュアルシフトが選ばれていたクルマだ。
2001年に輸入開始されたAlfa147でさえ、3割ほどはマニュアルシフトだったと聞く。
アルファスパイダーにはマニュアルしか存在しなかった。
    
アルファロメオは、そういうブランドなんじゃなかったのか。
   
私はスポーツ走行がしたいからマニュアルシフトを選んでいるんじゃない。
サーキットで遊びたいからマニュアルシフトを選んでいるんじゃない。
   
自分の意志に忠実に、
気持ち良くクルマが動くからマニュアルシフトが好きなだけなんだ。
なのに、今後輸入されるAlfa159はオートマティックのみになる。
それもカラーバリエーションを事実上縮小して。
    
私は、自分の予感を信じて急いで今の159を手にいれた。
少々大変だったけど、なんとか手に入れることが出来た。
その選択は、正しかった。
しかし、同時に私は自分の立ち位置に愕然としている。
  
私と同じ志向を持つ人は、こんなにも数少ない。
それは、輸入を打ち切られて存在を消されてしまうほどに。
  
ただ言えることは、
相変わらずイタリアではAlfa159のマニュアルシフトの縦横無尽に駆使して、
喜々として駆け回ってる人がほとんどであろうこと。
きっと様々なカラーコーディネートを楽しんでいるであろうこと。
自分のキャラクターや好みを吟味して、
ソファやテーブルや雑貨やカーテンを選ぶように
様々な組み合わせを検討してクルマを選んでいるだろうこと。
そうしてフィアットやランチャ、アウディやゴルフ、それらが一目散に走り回っている。
   
日本は狭い国だ。そして渋滞だらけの国。
だからマニュアルシフトを選ぶ人が少なくなってしまったことは理解できる。
   
ただ、せめて選択肢は奪わないで欲しい。
自分の好きな色の組み合わせで、自分の意志にダイレクトに反応してくれるクルマで
自分の好きな場所へ好きな時に行くことの出来る可能性を残して欲しい。
   
 
それが私の今の切なる願いだ。
   
  
  
  
  
 



    
    
    
<追記>
  
  
その点、国産のコンパクトカーなんていい線いってる。
マーチやキューブはステキなカラーがいっぱいで迷ちゃうほどだ。
それからレクサスも、
自由に色の組み合わせが選べるし納車まで半年待てなんてこともない。
ただ、海外にはマニュアルシフトがあるのに日本にはない。
それからスカイライン、新型は色も様々な組み合わせが選べるようだ。
と思いしらべたら、やはりマニュアルシフトは消滅。スカイラインなのに……。
   
  
それを鑑みて今、私の選択肢として残るのは。
   
1.プジョー307CC-SPORT 5MTキャメル内装
 上級グレードだから高い!
 
2.BMW MINI カブリオレ(なんでも色々選べるbut納期長い)
 コレが一番理想に近い、けれどオプションを付けると高い!
 
3.マツダスピードアテンザ&マツダロードスター&マツダRX-8

4.スバルレガシィ
   
 
これくらいしか思い浮かばない……。
選択肢がないっていうのは、ものすごく寂しい……。



<追記/2006.12.07>

あまりに断言して書いてしまったので追記しておきます。
この話は、ディーラーにて口頭で聞いた話ですので、
事実と反している可能性は否定できません。もし誤りだったらすみません。

<追記2/2006.12.9>

日本導入のAlfa159-Selespeedの装備仕様詳細に誤りがありましたので、
ここに追記します。

●ボディカラー:レッド、シルバー、黒2色の設定
※ワタシのルビーノレッドは廃止。
●内装について:革内装は2種類健在です。
※ワタシのチベットレザーのベージュ色は廃止。

装備についてはそんなに間違ってません。

ワタシのものはMTモデルのトゥーリズモですが、
同等装備を考えると、
SelespeedのフレッチャドーロIIとヴィラデステIIの中間といった所のようです。
た、高けーーな……。


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りうが

わざわざミッションの免許、取る人居なくなるのでしょうか。寂しいですねー・・・
それから、レーシングスポーツも随分下火です。これも、また寂しいです。
次のクルマ、どれにしようか選択肢が少ない中、どれにされるのかちょっと気になります。(それまでブログ続いてますよね!)
by りうが (2006-12-06 12:20) 

アキオ

国産車でも、MT率は下がってますし、
カラーバリーエションも(内装含めて)意外に
「初期型は選べるけど、モデル末期に向かって、だんだん縮小される」
という傾向があるんですよね。
欲しいヒトは、早く買わないと、選べる物が減ってしまう。。
コレって、趣味の物として選ぶヒトにとっては、、、、
「どんどん改悪」の方向に、と思う訳ですよ。
メーカーは売るため、と言うお題目の元に「売れる物を残して行く」
と言う戦略を進めて行き(最初はあるけど、売れなきゃ落とす)、結果的に、好き者人口を減らしてると思うんですよね。
で、その結果、クルマの個々の違いが小さい現在に繋がっている、と。。
逆に言えば、メーカーそのものが自分の首を絞めてしまうスパイラル。
MT乗るなら、スポーツしか無い、、そう言う状況に追い込み、
さらに、数が出ないスポーツタイプ自体が売れないから減って行く。
サードコに行くのかな、、、メーカーは。

それにしても、、アルファがMT落とすって、、うーむ。
最近のATはMTよりも、性能的な物が上な物も出て来てるのはしってるけれど、
そう言う問題でもないんですけどね。。
by アキオ (2006-12-06 12:23) 

arukakat

私の所属する自転車チームに教習所の教官がいてるんですけど、「男のAT限定、多いよ。女性より」と言ってました。鎌倉(そして関東全域)は渋滞が基本なんでATしか考えられませんが、田舎に帰ったらそらもうマニュアルをグニュグニュ乗りたい感じです。
と思いつつ、自転車が一番大事なので、どうなることか・・。
by arukakat (2006-12-06 16:35) 

メーカーも売れないと生き残れないし、かと言ってMTをなくしたくはない。輸入車インポーターではそんな葛藤をいだく人が多くいらっしゃいます。国産メーカー特に営業部ではそういった志の高い方は少ないようですが。
いずれにしても、この国では便利さに押されて、楽しみが奪われているのは自動車に限ったことではないように思います。便利さという退屈はこの国の工業製品の最大の欠点なのではないでしょうか。
by (2006-12-06 18:03) 

knacke

きむたこもがちゃがちゃ派です。
車を運転しなくなって早1年・・・。
帰ったら、乗れるだろうか?
と、いうより、車を買う予算がきっと、ない・・・。(爆)
by knacke (2006-12-07 08:44) 

norinori27

スカイライン(セダン)のオールAT。。面構えはフーガじゃん!

最近のATはMTに近いとはいえ、MTの感覚に比べるとね~~
これから免許を習得する人達は車を「操る」という面白さを味わえないなんて寂しいと思う。
by norinori27 (2006-12-07 09:19) 

nal

>りうがさん
今やAT限定免許9割って聞きますがホントなんですかね?
そしたら検討どころか乗れないですもんね、、、(苦笑)
えー買換え、、、ですか?Rクンが小学生になる頃、、、か。
ブログあるのかな、、、つーかソネブロあるのか?(悩)
>アキオさん
そうなんです!!エディックスもオレンジ内装落ちたし、エリシオンもキャメル内装廉価グレードでは落ちるらしいんです。何だそりゃですよ(買わなかったのに言うのもなんだけど、苦笑)
ホント、どんどん追いやられている感あふれてますよ。レコードとかカセットと同じで、マニアは細々と、、、という時代が近付いているのかもしれませんね。マニュアルは特別生産でプラス30万、とか(そーなったらワタシもオートマ買うな、、、)
>arukakatさん
女性は好きなら多少ハードルあっても頑張るらしいですよね。ミニのマニュアルがどーしても乗りたきゃ頑張る、みたいな。その点オトコは、、、(泣)それから渋滞、ワタシも毎日渋滞ですがそんなに苦じゃないです。今ドキのMTはけっこうラクチン。
>eddieさん
→便利さという退屈はこの国の工業製品の最大の欠点なのではないでしょうか。
コレ、ワタシがいつも思ってることです!!日本は豊かなんでしょうけど、住んでるワタシたちは本当に豊かなんでしょうかね、、、そのうちマスに飲み込まれて「少数が欲しい」人は追いやられるように思えてなりません。
by nal (2006-12-07 10:01) 

nal

>きむたこさん
かちゃかちゃ楽しいですよねぇ。
自分の気持ちの赴くまま、ってホントにキモチイイ。
えーーー今目の保養が出来るきむたこさんがちょっぴりうらやましいです。
>norinoriさん
スカイライン、開発者のインタビューを何かで読んだんですよ。
「だって売れないでしょ、MT」ってひとことですよ!!!
スカイラインの開発者ですらコレですもん。
ミディアムセダンをMTでゆったり乗るって気持ちイイのになぁ、、、。
by nal (2006-12-07 10:04) 

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