最悪な日々#1 [おもいでがたり]
目の前に白黒の男が飛び出して来た。
すぐに私は急ブレーキ。
そしてすぐに「…やっちまった…」と心の中でうめいた。
■CHAPTER 01■
1991年。
大学3年生の夏休み、北海道。
私は2週間ほど自分のクルマでの自動車旅行を果たした。
阿寒湖のあたりで飛び出してきたのは派手な旗を振る男だ。
そう、私はスピード違反で捕まったのだった。
すぐにワンボックスの車両に乗せられて押し問答。
聞けば47kmオーバーだと言う。
私は耳を疑った。
速度違反は間違いないとは思っていたが、私には確信があった。
その時の自分のクルマのスピードメーターだが、12時の位置が100キロだった。
47キロオーバーだと時速97キロだ。
私は絶対に11時の位置より手前に速度計の針があったのを確信していた。
捕まるにしても時速80キロで30キロオーバーがせいぜいじゃないのか、と。
当時は若かったし跳ねっ返りな考え方をしていたこともあって、
権力に片っ端から反抗するような性格だった私は、
絶対に指紋を取られてなるものかという意地も重なって、
執拗に白黒な方々に食い下がった。
絶対に、97キロも出していない。
旅先の阿寒の山中で1時間弱拘束されたものの私は譲らず、
結局認印(指紋)は押さなかったしサインもしなかった。
私はサインのない赤いキップを渡されて、捨て台詞を吐かれた。
「裁判にするよ、結局認めることになるからね。」と。
■CHAPTER 02■
大学3年生、二十歳の私はバイトでけっこう稼いでいた。
月に10~15万円くらい。
学生のアルバイトにしては相当いいほうだと思う。
仕事はデパートの生活雑貨売り場だ。
裏方で石けんやタオルを包装するのが主な仕事。
時には売り場に立つこともあった。
そこは商社からの派遣のバイトの人が多く、私も商社採用の派遣だ。
お中元やお歳暮の繁忙期には多忙を極め、私は商社の担当の方に頼まれて、
大学のサークルの後輩を何人もデパートに紹介した。
12月。
お歳暮商戦まっただ中。
残業で21時になることなんかも多かった。
私もサークルの後輩も大学とデパートを行ったり来たりの毎日。
たしか5人くらいの後輩を紹介して一緒に働いていたと思う。
そんなお歳暮商戦で忙しい真っただ中に、事件は起きた。
デパートの裏の倉庫兼包装所で、私の財布がなくなっていたのだ。
仲間5人、いつも決まった場所に自分たちの荷物を置いていたのだが、
私の財布だけがなくなっていた。
一所懸命に探したが出て来ない。
後輩も、デパートのお姉さんも一緒に探してくれたのだが見つからない。
中には運転免許証も銀行のカードも、もちろん現金も入っていた。
若者特有の、人に言えないような宿泊券なんかももちろん入っていた。
現金は5000円ほどしか入ってなかったと記憶しているが、
とにかく財布丸ごとすっかり消え失せていたのだ。
その日バイトが終わると私はすぐに派出所に出向いた。
そして遺失物届けだか盗難届だか忘れたけれど記入して、
たしか捺印もさせられたと思う。
3ケ月前に北海道であれだけ捺印に抵抗したのに、
あっさりと派出所で捺印させられるハメになった。
免許証の再交付もしなきゃいけないし定期券もなくなった。
銀行にもカード利用の停止を連絡しなきゃいけない。
日々クルマで移動する生活をしていたので、
運転免許証の再交付のため、すぐに運転免許試験場に行って再交付の手続きをした。
そんな中、財布紛失事件の2日ほど後だと思うが銀行から私のもとに電話が入った。
「利用停止の連絡を頂いたカードですが、落とし物で届けがありますよ」と。
すぐに銀行に出向いたところ、私のカードは銀行にあった。
行員さんは「キャッシュコーナーに落ちていたそうです」と教えてくれた。
キャッシュコーナー。
つまりはこういうことだ。
私の財布は、何者かに盗まれたのだ。
盗んだ誰かが私のキャッシュカードでお金を下ろそうとした。
たぶん免許証を見て誕生日なんかの暗証番号を入れたんだろう。
けれど、お金は出て来なかった。
誕生日なんて、そんな簡単な暗証番号を私は使わないからだ。
そのまま焦った犯人はカードを銀行に捨てて逃げたんだろう。
それを、誰かが拾ってくれたというわけだ。
落とした、もしくは盗まれたサイフが出てくるなんて私は思っていなかったけど、
わずかな光明が射したのを私は感じた。
銀行の昨日か一昨日の監視カメラに、絶対に犯人は映っているはずだ。
キャッシュコーナーの利用履歴を検索してもらえば時間だってわかるはず。
監視カメラのその時間の映像の中に、絶対に犯人は映っている。
私は確信を持った。
バイトと学校があったからすぐに行動に移せなかったが、
バイト先の後輩にも大学の友人にも興奮してその話を続けた。
明日、派出所と銀行に行って直談判してやる。
絶対に、犯人を見つけてみせる。
私は使命感に燃えたぎっていた。
つづく
<ひとりごとと、おわび>
本日、とあることがあってこの時のことを思い出しました。
けっこう強烈なキツーイ思い出……(泣)
ただいつものように長くなっちゃうんでここで一旦切ります。
次回、終わる見込み(たぶん終わるっしょ)です。
それからchapter1とchapter2はちゃんと繋がりますんで。
ムカンケーではないです、ペコリ。
後編は、コチラからどうぞ♪
つ、続きが気になります…!
は、はやく続きを…!(笑)
by 斉藤ようこ_nina (2007-08-01 17:25)
CHAPTER 01、
CHAPTER 02、ときて、、、つづく。。。
どう繋がるかが気になる、、、
気にすればするほど、、、
というか気にしちゃいけないと思うほど、、、
キニナル。。。
今晩、眠れなかったらnalさんのせいですよ・・・(^^;
by (2007-08-01 21:32)
つながるんですか?!えぇ?!
早く続きをー!!!
by ゆっきぃ (2007-08-01 22:39)
すっ、すごい気になる!!
by yunaママ (2007-08-01 23:01)
こわいなぁ。
by luka (2007-08-02 00:41)
若い頃から波乱万丈ですねえぇぇ(笑)
で、いったいどんな宿泊券?
そこってツッコミどころ?
by りうが (2007-08-02 10:08)
>ひなぐまさん
どうつないだらイイのか頭抱えてしまいましたー。
つーか頭抱える時間がなかった…。
>たろうさん
寝られました?
>ゆっきぃさん
長くてよくワカラン話でスミマセン…。
>yunaママさん
気になるトコでワタシも訳わかんなくなったんです(笑)
by nal (2007-08-06 17:56)
>lukaさん
若いってのはコワイもんなんです。
>りうがさん
あーそうです。
ツッコミどころです(笑)
つーかそこをピックアップしたりうがさんに…(ニヤ)
by nal (2007-08-06 17:56)
新記事から見てるけど
BAD DAYS はココから1がはじまってるのねww
by maya (2007-08-06 20:46)
>mayaさん
だって1の次は2じゃん!!(笑)
by nal (2007-08-07 12:49)