OnceAgainGuam#1 [旅に出よう]
あの頃、私は前人未到の一員だった。
新入社員から数ヶ月を経た２３歳の私。
空前絶後の集団に属することが出来たことに、今でも深く感謝している。
あの頃、それは１５年前のことだ。
私の勤務していた営業所が管理職含め総員１１名で１８棟という記録を達成した。
それはわかる人には驚愕の、驚きの数字だった。
会社が行っていたとあるキャンペーンの基準に見事所員全員が到達した。
それもぶっちぎりのトップで所員全員に会社からのお小遣い付き、という特典を付けて。
あの頃は本当に毎日がお祭りみたいな日々だった。
キャンペーン適用外の営業所長の旅費も、
所員全員がもらったお小遣いを返上することで会社に認めさせ、
見事パートさん以外はもぬけのからの営業所、という珍事が生まれた。
もちろん私も末席ながら成果の一助にはなり、
営業所の先輩方とともに機上の人となった。
そして向かった先は、グアム。
１５年前、新入社員だった私は
グアムのショッピングモールのようなところにへばりついていた。
同期で同じく報償旅行の一員だったKを連れて、
当時はDFSは無かったのでタモンサンズプラザだったかどこだったか忘れたけれど、
とにかく免税店のショーケースにへばりついていたのだ。
それも２日間、たぶん全部で３時間近く居座ったんじゃなかろうか。
時折直属の先輩のHさんが私を見つけて冷やかしたりしていたが、
何度も何度もすれ違ううちにイラついてきたHさんは、
私にこう捨て台詞を吐いて去って行った。
「あのな、売りゃあいいんだよ。」
「自分にプレゼントして、貯金はたいたらまた頑張って働いて稼げばいいんだよ。」
「欲しいならさっさと買えよ、あーオマエは煮え切らんなぁ〜。」
わかっちゃ居るさ。そんなことはわかっているとも。
でも２３歳の私にとって、それはすぐに手が出せるほどの金額じゃなかったのだ。
確かにあの頃の営業所の先輩はみな輝いていた。
売って飲んで飲んで飲んで、そして思いっきり自分にご褒美を買ったりして。
あの頃、私はあの集団の中に居ることが出来て良かった。
今でも本当に感謝している。
その時免税店のショーケースで、
私を捕まえて離れられずにさせた先にあったもの。
■チェックアウト前のホテルラウンジにて■
オメガの、スピードマスター。
１５年前の私を釘付けにさせた時計。
結局、私はその時に悩んだ末にスピードマスターを手に入れた。
確か、700ドル弱だったように記憶している。
今でも大金と言えば大金だが、
２３歳の私にとってはまさに清水の舞台から飛び降りる心意気だった。
そして、覚悟を決めて手に入れることにしたグアムの地に、
もう一度そのスピードマスターを連れてくることが出来た。
１５年の歳月は、２３歳の私を二児の父に仕立て上げていた。
１０年ほど前に一度メンテナンスに出したきり、
何もイジってないので既に革はボロボロだしガラスに至っては一部スリ傷が出来ている。
でも今でも、スピードマスターはジジジジと時をしっかりと刻んでいる。
ベルトをピカピカのヤツに換えて、もう一度現役として働いてもらおう。
そして私も、年を重ねた我が子にこの時計を贈りたい。
タモンの夕陽を眺めながら、そんなことを考えていた。
■ART FILTER■POP ART■
■Photos■
■DSLR■Olympus E-30
■LENS■Leica D Vario-Elmar 14-150mm F3.5-5.6
■お知らせ■
しばらく、グアム写真修業記事が続くと思われます。ペコリ。
あと過去記事の旅行全般を引っ込めてますので、
徐々に「旅に出ようフォト」を記事にしてくつもりです。
アキオさんの「clock、watch、時計。」にトラックバックさせて頂きます。
http://akionos30z.blog.so-net.ne.jp/2009-03-16
新入社員から数ヶ月を経た２３歳の私。
空前絶後の集団に属することが出来たことに、今でも深く感謝している。
あの頃、それは１５年前のことだ。
私の勤務していた営業所が管理職含め総員１１名で１８棟という記録を達成した。
それはわかる人には驚愕の、驚きの数字だった。
会社が行っていたとあるキャンペーンの基準に見事所員全員が到達した。
それもぶっちぎりのトップで所員全員に会社からのお小遣い付き、という特典を付けて。
あの頃は本当に毎日がお祭りみたいな日々だった。
キャンペーン適用外の営業所長の旅費も、
所員全員がもらったお小遣いを返上することで会社に認めさせ、
見事パートさん以外はもぬけのからの営業所、という珍事が生まれた。
もちろん私も末席ながら成果の一助にはなり、
営業所の先輩方とともに機上の人となった。
そして向かった先は、グアム。
１５年前、新入社員だった私は
グアムのショッピングモールのようなところにへばりついていた。
同期で同じく報償旅行の一員だったKを連れて、
当時はDFSは無かったのでタモンサンズプラザだったかどこだったか忘れたけれど、
とにかく免税店のショーケースにへばりついていたのだ。
それも２日間、たぶん全部で３時間近く居座ったんじゃなかろうか。
時折直属の先輩のHさんが私を見つけて冷やかしたりしていたが、
何度も何度もすれ違ううちにイラついてきたHさんは、
私にこう捨て台詞を吐いて去って行った。
「あのな、売りゃあいいんだよ。」
「自分にプレゼントして、貯金はたいたらまた頑張って働いて稼げばいいんだよ。」
「欲しいならさっさと買えよ、あーオマエは煮え切らんなぁ〜。」
わかっちゃ居るさ。そんなことはわかっているとも。
でも２３歳の私にとって、それはすぐに手が出せるほどの金額じゃなかったのだ。
確かにあの頃の営業所の先輩はみな輝いていた。
売って飲んで飲んで飲んで、そして思いっきり自分にご褒美を買ったりして。
あの頃、私はあの集団の中に居ることが出来て良かった。
今でも本当に感謝している。
その時免税店のショーケースで、
私を捕まえて離れられずにさせた先にあったもの。
■チェックアウト前のホテルラウンジにて■
オメガの、スピードマスター。
１５年前の私を釘付けにさせた時計。
結局、私はその時に悩んだ末にスピードマスターを手に入れた。
確か、700ドル弱だったように記憶している。
今でも大金と言えば大金だが、
２３歳の私にとってはまさに清水の舞台から飛び降りる心意気だった。
そして、覚悟を決めて手に入れることにしたグアムの地に、
もう一度そのスピードマスターを連れてくることが出来た。
１５年の歳月は、２３歳の私を二児の父に仕立て上げていた。
１０年ほど前に一度メンテナンスに出したきり、
何もイジってないので既に革はボロボロだしガラスに至っては一部スリ傷が出来ている。
でも今でも、スピードマスターはジジジジと時をしっかりと刻んでいる。
ベルトをピカピカのヤツに換えて、もう一度現役として働いてもらおう。
そして私も、年を重ねた我が子にこの時計を贈りたい。
タモンの夕陽を眺めながら、そんなことを考えていた。
■ART FILTER■POP ART■
■Photos■
■DSLR■Olympus E-30
■LENS■Leica D Vario-Elmar 14-150mm F3.5-5.6
■お知らせ■
しばらく、グアム写真修業記事が続くと思われます。ペコリ。
あと過去記事の旅行全般を引っ込めてますので、
徐々に「旅に出ようフォト」を記事にしてくつもりです。
アキオさんの「clock、watch、時計。」にトラックバックさせて頂きます。
http://akionos30z.blog.so-net.ne.jp/2009-03-16
2009-04-03 17:03
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SERIE nalfalfa
■激辛naltaBASCO■
■LOVE AlfaRomeo■
■LOVE ABARTH■
■これは完全なる実話だ！■
イロイロ
■CONTATORE■
●apra!●26th,JUL.2006●
●apra!●26th,JUL.2006●
おいしい色の風景だ〜。
ストローをさして、ちゅるちゅる〜って飲みたい♪
by きむたこ (2009-04-03 20:33)
すごいすごい!!
写真も話もカッコいい!!
※すみません。家呑みで少し酔っぱらってハイテンションでコメントしちゃいました。
by Nishi (2009-04-03 23:40)
＞きむたこさん
そっか〜カクテルみたいとも言えますね〜。
＞Nishiさん
もっとカゲキにコメント書きなぐってくれると臨場感があって楽しいです！（笑）
by nal (2009-04-04 12:58)
ついにまた行ってしまいましたか。
僕も17年前、報奨旅行（ハワイ）で思い切って買った時計、オメガでした。
オメガってそういう時計なのでしょうか。
by ｅｄｄｉｅ (2009-04-04 21:57)
＞eddieさん
やはり社会人になって間もないくらいの若造だと「月に行った」ってのがココロに刺さるんでしょうか。
by nal (2009-04-06 17:49)
なんつー美しいぐらでーしょん。感動。
by JOHN (2009-04-07 19:50)
＞JOHNさん
空気がキレイなトコは、何もかもに感動できますね！
by nal (2009-04-09 10:11)
なんか、ええ話やw
しかし、機械式。
子供が同じ心を持ってくれる事を願って、
その橋渡しに、この機械を渡したいと言う気持ち。。
ソウトウ解ります。
キミがうまれてくる前から動いてたんだよ、、
と、ね。
by アキオ (2009-04-10 15:11)
＞アキオさん
いやこの記事、アキオさんの記事を読んでインスパイアされて内容構成してますので…恐縮です。「時計を我が子に引き継ぐ」っていう考え方を今までしたことがなかったんです。でも、そーゆーのってものすごステキだと思いました。ワタシの中では、このスピードマスターですね渡すとしたら。
by nal (2009-04-11 11:21)