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THE SONGWRITERS [映画音楽本とか]

昔からテレビを見ない人だった。
特にドラマというものを通しで観たことは一度も無い。
ただの一度も、無いんだなコレが。
だから昔々生徒学生だった頃は学校で話題に付いて行けず苦労した。
でも、それでも話題に入るだめだけにテレビを観るのは嫌だったし、
そんなことで迎合していては自分なんて無いじゃないか。
だから結局ワタシはあんまりテレビを観なかった。
 
ずっと、部屋で大好きな音楽ばっかり聞いていた。

おっと。
今思い出したけれど1コだけドラマをちゃんと観たことがあった。
2000年にフジテレビで放映していた愛をくださいというドラマ。
観ながらちょっと苦痛になっていたのは内緒だが、でも最後まで観続けた。
このドラマは、ミュージシャンであり作家である辻仁成が脚本を手がけていたからだ。
ただあの時についてもドラマが観たかったのではなく、
辻仁成の創作物が観たかったというだけの理由では、ある。
 
  
  
で、今。
  
最近でもテレビを観ることは少ないほうだと思う。
朝のニュース、それからシンケンジャーに仮面ライダーにポケモン。
ってコレは自ら観たくて観ているわけではないのだが。
あとは……夜たま〜にニュースとかバラエティ……。
   
そんなもんだ。
  
だからやっぱり、今でもテレビを見るのは少ないほうなんだろう。
そんなワタシが7月に入ってから、録画してまでしっかり観ている番組がある。
 
「佐野元春のザ・ソングライターズ」
http://www.nhk.or.jp/songs/song-w/

佐野元春が進行役となり、
毎回ミュージシャンを招いて「歌詞」しいては曲作りについて語り合う30分番組。
第一回のゲストは小田和正さんで、第二回はさだまさしさんだった。
  
毎週土曜日に放映しているのだが、
ワタシは今までこんなことなかったってくらいにこの番組を観ている。
録画もしつつ、出来ればキレイな画面と美しい音で観たいので
地上デジタル品質で観られるようリアルタイムで観るようにしている。

そして記念すべき第一回、小田和正。
ワタシは微妙にオフコースのブレイクとは世代がズレてはいる。
中学生の頃に「君が嘘をついた」が発売になった世代だから。
でもその頃よくFMをエアチェックしていて、
ひとつ前の世代の歌をたくさんたくさん聞いていた。

だからオフコースの歌はけっこう好きだ。
その後ベスト盤ながらCDも買った。なかでも好きな歌は、この歌。
 

オフコース BEST★BEST

オフコース BEST★BEST

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キープ株式会社
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: CD



生まれ来る子供たちのために

生まれ来る子供たちのために

  • アーティスト: 佐藤竹善,吉岡治,こうじはるか,小田和正,トゥーツ・シールマンス
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
  • 発売日: 2002/11/20
  • メディア: CD



RED RIBBON Spiritual Song ~生まれ来る子供たちのために~

RED RIBBON Spiritual Song ~生まれ来る子供たちのために~

  • アーティスト: AIDS チャリティ Project,小田和正,桜井和寿,RYO,若旦那
  • 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
  • 発売日: 2007/11/28
  • メディア: CD


 
 
”ひろい空よ僕らは 今どこにいる”
”迷うものなにもない あの頃へ かえりたい” 

「生まれ来る子供たちのために」 song by  OFF COURSE
 
詳しくは知らなかったのだが、この歌はかの有名な”さよなら”で
大ブレイクを果たした彼らが続いて発売したシングルだったらしい。
そして、あまりにも「売れセン」とかけ離れた曲調に周囲は猛反発したらしい。
でもそれでも押し切って小田和正は、
自分がその時一番歌いたかった歌をシングルとして世に問うた。

そんな話を今回テレビで観て、ワタシは今までよりももっとこの歌が好きになった。

基本的に小田和正の歌に対しては楽曲としては好きだけれども
ワタシにとってその多くはあの声質に依るところが大きく、
歌詞、メッセージにたいしてそれほどちゃんと聞いてはこなかったのだが、
今回もっとこの歌が好きになった。
 
 
そして第二回は、さだまさし。
 
その中で我が敬愛する佐野元春とさだまさしとのやり取りの中に、
今回ここに書きたくなったくらい共感してしまうやり取りがあった。
 
  
”あなたにとって、曲(歌詞)作りとは。”
  
 
佐野元春曰く、歌詞(曲)作りとは自分を見つけること。
書いた後に「自分ってこんなことを考えていたんだ!」と気付くことが多いと言う。
そしてさださんもそれに大いに同意した後、こう語った。
  
「曲作りとは、自分を耕す作業。」
「いやそれよりも自分の中に釣り糸を垂らして何が釣れるか楽しみにする作業かな。」
  
そしてさださんはこうも言った。
 
「作詞も作曲も、引き出しをたくさんたくさん作っておくことだ。」
「偏った趣味で音楽を聞くのではなく、広く広く民族音楽でもなんでもたくさん聞く。」
「興味があることは音楽に限らずなんでも首を突っ込んでみる。」
「そうやって自分の中に無限の引き出しを作っておくことだ。」


ワタシは何から何まで共感することばかりで、
うれしくなってしまってずっと集中してさださんと佐野さんのやり取りを聞いていた。

今のワタシにとって、創作物と関わることなんて案外少ない。
というよりも創作を生業とする方以外はそんな機会は少ないことだろう。
ワタシにとっては、数少ない創作と言えるのは仕事で方眼紙に向かっているときと、
それからここ、so-net blogに記事を書き連ねるときだ。

ワタシはよく思う。

最初は何となく書き始めとテーマだけアタマに浮かべて書き始めるのだが、
そのうち考えるよりも先に指先がキーを叩いているときがある。
もしくは書き終わった後で改めて自分で読んでみて、
「へぇ、オレってこんな事考えてたんだ。」って思うことがある。
妙な知識やエピソードが突然浮かんで来て驚くことがある。

そんな時が、一番うれしい。

記事作りにのめり込んで行く瞬間って、だいたいそういう瞬間。

そして、ほんのひとにぎりの才能あふれる方は別なんだろうけれど
ワタシのようなありふれた才しかない凡人にとっては、創作とは経験と引き出しが全てだ。
ある日突然にこの世に今まで存在しなかった手法を思いつく、なんてことはあり得ない。

もちろんかつての若かった頃は、違った。

創作とは自らの中から溢れ出るもので、
学んだことを活かすなんてのはいわば「パクリ」と同じだ。
そんなものは創作とは言わない。十代の頃はそう信じていた。
当時はバンドをやっていたりもしたので、
ワタシはノートに歌詞や詩を書きためたりってことをよくした。
真っ白なページに向かいながらバーボンあおりつつ詩を書く夜、
なんて今思えば恥ずかしいことをよくやっていた。

自らの体内からコトバが溢れ出てくるのを待ちながら。


でも今は違う。
ワタシのようなありふれた才しか無いものにとって、
未だ見ぬ地平に進むための唯一の道標は、経験という名の引き出しだ。
仕事でもそうだ。
たくさんたくさん色んなモノ見たり聞いたり読んだりした中からしか、
方眼紙に表現できる新たな創作なんてものは、ない。
本当にそう実感している。

ここに書く記事にしても、
ワタシが誰かの文体が素晴らしいと思い興味をもったり、
これが好きだとか苦手だとか思ったりして
目にし口にし耳にしたものからしか、新たな表現は生まれない。

いわば、引き出しから引っ張って来た経験を組み合わせたパズルのようなものだ。
でもそこに、ワタシにしか出来ないパズルの組み方があるはずだ。

それをワタシは創作だと信じている。

そのことを、第二回のさださんと佐野さんが語ってくれた。
ありふれていない、希有な才を持つお二人ですらそうだったのか。
それがわかって、何となくうれしくなった。

と同時にもうひとつその時に記事について考えてしまったことがある。

それは、お気づきの方がほとんどとは思うけれど、
ワタシの記事作りに置いて今現在、ひとつの大きな引き出しにはカギがかかっている。
現在のワタシの中で一番大きいとも言える引き出しに、
自らカギをかけて開けないようにしている。

実は他の場所でそのカギを開けて色んな物語を紡いではいるのだが、
でも今の状態はいわばワタシにしか作れない組み合わせのパズルの、
大きなワンピースを使っていないのと同じことなのだ。
今回さださんと佐野さんのやり取りを拝見しながら、
そのワンピースについて少し考えてしまった。
その引き出しから経験という名のピースをこの場所にぶちまけて、
もう一度ワタシにしか出来ない組み合わせのパスルを楽しむべきなのかもしれない。
    
    
そんな色んなことを考えさせてくれるくらい、
「ザ・ソングライターズ」は今ワタシがハマっている番組である。
特に創作に興味がある方にとっては、カラダの幹がビビビとくること必須、である。

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コメント 2

アキオ

さたまさし、良いんだって、
とまわりに言っても反応イマイチなんですよね。

一般に暗いと思われてる。

仕方ないけど。

おもれい歌も即興もトークも良いんだけどな。

nalさん好きですよねー、辻さん。
by アキオ (2009-07-28 17:18) 

nal

>アキオさん
ス、スミマセン…ワタシもCD持ってません(ウウウ……)
社会人2、3年生の頃に先輩に進められてカセット(MDだったか?)でけっこう聞いてて気に入ってたんですけど、買っては居ないな……でも歌の世界の繊細さがものすごいですよね。

by nal (2009-08-04 11:06) 

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