忘れた頃に見る夢

空気の質量を肌に感じて私は自由に飛び回る。
大きく広げた両腕にも空気を切り裂く重さがのしかかっているし、
顔は風の力で歪んでいる。髪は四方八方に荒れ狂っている。
　
でも、私は優雅だ。
　
空を自由に飛ぶってなんて素敵なんだろう。
高いビルから覚悟を決めて飛び降りる時は、さすがにドキドキする。
宙を待っている最中でも、時に気を緩めると墜落しそうになる。

昔は、小学校の校庭にある朝礼台の上に着地することが多かった。
校長先生が朝礼で立つ、あの場所だ。
昔は、じゃないな。
今でも朝礼台の上によく着陸する。
飛び立つときは、指先にグイっと念を込める。
ゆっくりと両腕を漕ぐように動かす。

私は、空を舞う。

けれど結末は決まってこうだ。
私は墜落する。舞い上がろうとする意志とは裏腹に地表は迫る。

そして墜落する寸前にバチっと目覚めると、
いつもそこはベッドの上だった。
　
　
　

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誰でも空飛ぶ夢を見た事があるのだと思う。
心理学的には逃避欲求の表れとか何とか、まあそんな理屈は関係ない。
とにかく、誰だって空を飛びたいしそんな夢を見たことがあるだろう。

幼い頃はもちろんのこと、私は今でも時折空を飛ぶ。
たぶん、年に１回か２回くらい。
そしていつもその手応えのリアルさに驚く。
空を飛んだ時の触感、空気の匂い。
墜落するときの重力、舞い上がる時の浮遊感。
私の場合は浮遊感というよりは、
鳥類のように自分の力で飛び立つイメージのほうが強いのだが、
とにかく飛んでる実感がハンパじゃなくある。
　
本当に、本当に飛んでるみたいだ。
夢ってある瞬間に「コレ、夢じゃね？」って思う時があるのだけれど、
そう思ってもやっぱり本当に飛んでるようにしか思えない。
　
　
今日急にこんな突拍子もない事を書いているのは日曜日に、
寝転がったソファから飛び起きるほど真剣に見てしまった映画の
シーンがあまりに強烈だったからだ。
　　
　
　　
　　
　
　

スーパーマン リターンズ(1枚組)

• 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
• 発売日: 2007/06/08
• メディア: DVD

スーパーマンリターンズ。
あまりに有名なアメリカンコミック原作のヒーロー映画。
ワタシは、オリジナルで出された四部作についてはほとんど記憶にない。
父がテレビ放映の時に喜んで見ていたような記憶がうっすらとあるくらいで、
筋も登場人物も何も知らない。
　　
　　
この日本当に何となく、まったく期待せずにスーパーマンを観た。
　　　
スーパーマンが、街を飛び回る。
超高速で飛ぶ。女性を抱えて、ゆったりと舞う。
　
その瞬間、ワタシは画面に目が釘付けになった。
縦横無尽に宙を飛び回るスーパーマン。
それはまさにワタシが幼い頃からよく夢で見ていた、
空を自由に飛び回るワタシそのものだったからだ。

まさにワタシはスーパーマンのように空を飛んでいた。
ゆっくりと流しながら舞ったり、
意志を込めて方向転換したり、両腕で飛び方をコントロールする。
うまく書けないけれど、
繊細なひとつひとつの描写が本当に自分が夢の中でしている飛び方と一緒だった。
　
きっと、このスーパーマンを撮った監督さんが夢で飛んでいた飛び方と、
ワタシの夢での飛び方が同じだったんだろう。
技術者さんも夢で同じ飛び方をしていたのだろうか。
　　
ひょっとして、誰でも夢の中で空を飛ぶ時はあんな飛び方をするのかな。
それとも記憶にはないけれど幼い頃に観たスーパーマンの印象が強烈で、
ワタシはいつも夢の中でスーパーマンのように飛んでいるってことなのかな。
　　　
そんなことを思いながら、
胸をキュンとさせながらワタシはスーパーマンを観た。

ストーリーや映像も、
まったく期待せずに観ていたワタシを良い意味で裏切るようないい映画だった。
ストーリー立てもちゃんとしているし、
それぞれの登場人物の内面も出来るだけ描こうと努力されている。

空を飛べた上に、本当に楽しめた良い映画だった。
　
　
告白しておくがワタシは本来、この手の映画が一番苦手だ。
ヒーローものが苦手、いかにもお約束の筋書きなんかも苦手。
「このやろ〜」とパソコンの前で怒る方が居るのを承知で書くが、
スターウォーズエピソード１の途中でワタシは映画館で寝てしまった。
エピソード２もそうだ。なのでエピソード３は観ていない。
スパイダーマンも、１作目を観てる途中で寝てしまった。
なので続きは観ていない。
　
ついでに言えば仮面ライダーとかヒーロー船隊とか、
その手の特撮ヒーローものにも興味がないコドモだった。
なのでガンダムとかにもまったく興味がない。
　
　
そんなワタシでもスーパーマンは面白かった。
もし続編があったとして、
このリターンズと同じクオリティであるならばワタシは観たい、いや絶対に観るだろう。

今度はぜひ、映画館で観たい。
大きなスクリーンと効果音の中で、
思う存分ワタシは空を舞いたいと思っている。
　
　
　

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＜もう一本、観た＞
　
　
　

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション

• 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
• 発売日: 2007/03/21
• メディア: DVD

　
　
面白かったです。
少なくとも「眠い」とはまったく思わないハズ。
ストーリーの前提を説明しないとわかりづらい話にも関わらず
その説明が省略されすぎていて「何の話？」って最初は思いましたが、
ダークな色調と、
ハリウッドお約束のちょっとした笑い一切無しのストーリーで
統一された世界観がありました。

「明るくない未来に見えた光」

SFなのに未来っぽくなく現在に警鐘を鳴らすようないい映画でした。

おまけにジョンレノンも出てくるしね（ニヤ）
…本物じゃないですよ…もちろん…。

タグ：映画 エッセイ おもいでがたり

コメント 9

私、空を飛ぶ夢は見たことないんですよ。不思議なことに。
穴に落ちる夢なら見たことあるんだけどね。

落ちる夢ってのは、ちょうど背が伸びたときにみるんですってね。
本当なんでしょうかねぇ。(￣~￣;) ウーン
by ぱんだぞう (2007-06-14 14:28) 

はいはい、夢の中で空飛びますよ～。
パタパタってやったら飛べちゃったって感じなんですけど。
夢占い的にも悪い夢じゃないみたいですよ。気力がみなぎってるとか。
ちなみに私、ビルからビルへ走って飛び移ったことも・・・。
マトリックスみたいに。
・・・ヘンな夢見まくる人なのです、ハイ。
（お暇な時にでも・・・http://blog.so-net.ne.jp/puchi-xjr/2006-01-24）
by ぷち (2007-06-14 14:56) 

スターウォーズは時間がメチャメチャあったら、レンタルでもどうぞw
じつは、初期もの三部作（古くからあるモノではなくって、、）のなかでは
三作目（ま、story的にも三作目）が、一番出来がいい、と言われておりますヨンw
ま、それはそれとして、スーパーマンはいいですよね。
うん。。。。
オリジナルはもっとゆったりしてるんで、もしかしたら、そっちの方がnal さんの好みかも。
といっても、技術の進歩は無視出来ない程ですけどねぇ。
by アキオ (2007-06-15 08:49) 

空を飛ぶ時には、泳ぐ感じです。
平泳ぎが一番楽チンに進みます。
時には太陽を眺めながらの背泳ぎで。
…という夢をよく見ます。
逆にすり鉢状の穴に吸い込まれる夢もよく見ますが。
by JOHN (2007-06-15 10:16) 

＞ぱんだぞうさん
と、飛ばないんですか！楽しいのに！（笑）
落ちる夢は昔よく見ましたが最近見ないですね…背が止まったってことですか？（苦笑）
＞ぷちさん
さっそく拝見します！てかマトリクス！（爆笑）
＞アキオさん
元のエピソード４〜６は昔ヒマだった頃に見たんです。
まあ面白かったんですが、どうも新しいほうはCG見せっこ大会みたいで…（ってスミマセン…）
＞JOHNさん
ほぉ！平泳ぎに背泳！やっぱ飛ぶのも人それぞれですね（笑）
by nal (2007-06-15 11:07) 

飛びますよ！アニメのように地面に穴あけて着地しますけど。。

００７の新作ＤＶＤ出てますよ（おいらは映画館で鑑賞済）
今回のボンドカーはカッコいいッス！！
今までのように「ありえない装備・走行」ではなく「これはあるな～」と
思わせる車です。
ま、、お約束で派手に壊れるけどね！
by norinori27 (2007-06-15 22:03) 

＞norinoriさん
おおお！！！地面が水紋みたいになるわけですね！
カジノロワイヤル、いいですか！そーですかーーー。
そっかー（買う気になっている、笑）
by nal (2007-06-16 12:38) 

カバンに乗ったり、とにかく何か飛ぶのとは関係のないもののうえに乗って
飛び回ることが多いです。
つまんなくて、最初だけ見て寝ちゃったのはターミネーター3。
たぶん最初の5分、持たなかったと・・・(笑)
by りうが (2007-06-16 22:37) 

＞りうがさん
カバンに乗る？えー魔法の絨毯みたいにですか？（笑）
ターミネーターはワタシは好きですよ！１と２はめっちゃ好き！
３は…すぐに４が出て筋が通れば起承転結の「転」として納得出来るんですけど、今のままじゃジャッジ出来ないです。中途半端すぎますよね、アレ。
by nal (2007-06-18 14:05)